Q3.鍼で肝炎やエイズに感染しませんか?

 
A.通常の鍼治療では感染の危険はありません。

まず、言っておきます。通常の鍼治療では簡易消毒程度でも、肝炎やエイズに感染する事はありません。

B型肝炎ウイルス(HBV )、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、ウイルスに感染している人の血液を介して感染します。

もちろん、母乳、胆汁、脳脊髄液、糞便、鼻咽頭洗浄液、唾液、精液、汗などの体液にもウイルスは存在しますが、量的に少なく、大半は感染媒介体として十分ではありません。

日常生活において、直接血液に触れない様にすれば感染はありません。また人間の皮膚は通常、身体を守る強力な防御壁があるので、健康な皮膚であれば、たとえウイルスを含む血液が付着したとしても心配はいりません。

~さて、鍼治療に使用する”針”について説明します~

鍼灸の「針」の形体は、組織を損傷しない様に考えられています。流線型で、非常に細く、先端が丸くなっています。その為、筋や神経繊維などを傷つけず、血管も刺すことなく縫うように刺入されるので、通常の鍼治療では出血しません。

それに比べて注射針の場合は、薬液を入れるために中心部が管になっている上に、先端はメス状ですから、回し打ちなどすればかなり危険です。

同じ針でも、注射針と鍼灸の針とでは、その危険度に天と地ほどの開きがあります。

血液を媒介して感染する疾患としてB型肝炎が注目される様になった際、注射針と鍼が同じ様に危険視され、誤認が正されないまま、現在に至っているものと思います。

「鍼灸の針で肝炎に感染した」と云う話はよく聞きますが、因果関係がはっきりした記録は調べた限りでは一つも見当たりませんでした。噂話が一人歩きしている感じです。

しかしそれが事実であっても、完全ということは無い訳ですから、あらゆる細菌・ウイルスが死滅する高圧滅菌(2気圧/132℃)か、「使い捨て針」を使うべきと思います。

太い鍼の刺入やうっ血した部分の刺入などでは、まれに出血することもあります。刺絡と云って出血を目的とする治療もあります。

また、因果関係ははっきりしませんが、化膿菌感染による敗血症の症例が報告されています。いずれにしても、清潔は常に心がけるべきと肝に銘じています。 

全ての針を使い捨てにしなくてはいけないという意見があります。しかし、スレンレス針では思うような治療が出来ない場合があります。鍼灸は単なる刺激療法ではありませんから…。

当院では、各個人専用の針・使い捨ての針・高圧滅菌処理の針を、針の種類に応じて使い分けています。

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