逆流性食道炎

「逆流性食道炎」とは、その名の通り、胃酸が食道に逆流することで食道に炎症が生じる病気です。代表的な症状は、むねやけ、胃もたれ、げっぷ、おなかの張り、胸の痛み、耳の痛み、咳などがあります。

胃酸は胃液に含まれる強い酸性の消化液で、食物の消化及び食物に付着して体内に入ってくる様々な菌の殺菌をしています。

その消化力は強力ですが、胃は胃粘液の働きによって自分自身を傷つけない様に保護されています。しかし食道にはこのような保護粘膜がないため、胃酸や消化酵素が食道に逆流すると食道粘膜に損傷が生じます。

食道の最下部には下部食道括約筋と呼ばれる輪状の筋肉があって、通常は胃の内容物が食道に逆流しないように防いでいますが、この括約筋が正常に機能していないと胃酸と消化酵素の逆流が起こります。

その原因としては、加齢による下部食道括約筋の筋力低下、肥満や猫背によって胃が圧迫される為の逆流、また最近特に増えているのは、砂糖類の過剰摂取、欧米風の食事やストレスの多い社会環境が胃酸の分泌を盛んにしている事などがあげられています。

西洋医学での主な治療法は、胃酸分泌抑制剤、制酸剤、消化管運動機能改善剤などの服用です。これらの薬剤は症状を緩和してくれますが、病気そのものが治っている訳ではないので、日常生活の乱れなどがあると不愉快な症状がすぐに出てきます。

逆流性食道炎は薬では治りません。

不愉快な症状に対しては、取りあえず、甘いものや脂っこいものを食べない、腹部を圧迫しない、食後すぐ横にならない、就寝時には頭を高くするなど、胃酸過多や逆流を増強する行為を避けます。

逆流性食道炎を根本的に治す為には、日常生活を見直して下さい。

日常生活においては、まず食事をよく噛んで食べることが一番効きます。よく噛むのは食物を細かくする為ではなく、唾液を沢山出す為です。酸を中和し、消化を助ける上に、満腹中枢にも働いて過食を防ぎます。

つぎに“姿勢を良くして深呼吸”を、一日に何回もやってください。よく歩くことも胃腸を丈夫にします。健康の基本は胃腸にあります。胃腸を健康にする生活を心掛ければ、この疾患は自然に治っていると思います。

そうは言っても、なかなか思う様な日常が過ごせない場合もあります。そんな時には「鍼灸」を勧めます。胸焼け、胸痛、胃痛などの急激な症状に対して、「鍼」がよく効きます。

しかし、症状が無くなっても、治っている訳ではありません。「自分でお灸」をして下さい。下部食道括約筋の機能回復と、胃酸の分泌を抑制する経穴(ツボ)があります。

「灸」は自分で逆流性食道炎を治す最強のアイテムだと思います。

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