鍼灸の効能

 

「鍼灸」が腰痛や肩こりに効くのは昔から知られていますが、最近では研究が進み東洋医学の様々なメカニズムが解明されてきています。

アメリカの国立衛生研究所(NIM)の公式な発表では、「鍼灸」は患者の中の赤血球および白血球数、闘病中の患者の中のナチュラルキラー細胞とリンパ細胞を著しく増加させることから、がん、感染症などの多くの病気に、「鍼灸」が効果的であると認め推奨しました。

このメカニズムは、特定のポイント(経穴)および神経系を鍼で刺激しすることにより得られるもので、さらに研究が進めば、神経の異常が引き起こす難病や自己免疫疾患などにも効果が認められる可能性があると指摘されています。

また他にも、身体の緊張を緩め、良質な睡眠や健全な消化活動を促し、生活の質を上げることも分かってきています。

鍼灸治療をすると、どんな効果があるかといった臨床実験は数多く行われています。

例えば、灸をすると白血球、血小板、グロブリンが増えその結果、免疫力が高まることが証明されています。実際、風邪とは関係ない疾患を治療しているのに、治療期間中は風邪に罹りにくくなります。

また、「三焦経」(十二経絡の一経)を治療すると、副腎の働きが盛んになって副腎ホルモンの分泌が高まり、自律神経系が強化されます。更年期障害や自律神経失調症に良く効きます。

「鍼麻酔」が良く知られていますが、「鍼灸」の最も分かりやすい効果は痛みの抑制です。鍼灸の臨床実験の中には、鍼を刺すと脳内物質のエンドルフィンを放出させるという報告もあります。小さな皮内鍼 (施術方法参照)を刺入しておくだけで、かなりの痛みが抑制出来ます。

自律神経の働きをみる方法に身体微細振動(MV)という検査がありますが、鍼灸治療の後で測定してみると、交感神経の過度の緊張をゆるめて自律神経を安定させる作用がみられます。

また脳波は大脳皮質の精神活動を図形化したものですが、鍼灸治療をするとリラックス状態のアルファー波が非常に増えることが証明されています。

経穴(つぼ)に治療して、その場ですぐ効果が分かるものも数限りなく有ります。

のどの痛みは、即、取り除く事の出来る疾患です。ものもらいの場合は、早い時期ならその場ですーっと腫れが引きますし、かなり腫れている時は翌日膿が出てきて治ります。また、歯周病で歯肉がひどく腫れて痛む場合など、翌日には楽に食事が出来るようになり喜ばれます。

臨床に携わって実感する事は、身体が必要とするだけ治療しさえすれば、必ず望む効果を得られるということです。

「鍼灸」は“気”のバランスを整える事によって、自己免疫力を高め自己治癒力を増して自分で病気を治すという医療です。ですから、ある意味ではどんな病気にも効きます。

しかし、いろいろな医療があるわけですから、最も確かで早く治る治療法を選択するべきでしょう。

この様に、最近では「鍼灸」による高い効能が幅広く認められ、東京大学病院、国立がんセンター、慶応大学病院、などの多くの大学病院、特定機能病院で導入されはじめています。

しかし最適な治療効果を得る為には、難度の高い外科手術と同様に長年の臨床経験が必要な事や、「鍼灸」をマッサージや整体と混同してしまっている人が多いなど、まだまだ本当の意味で普及しているとは言えないのが現状です。

西洋医学はとても優れた医療ですが、西洋医学で治療しても治療効果が得られない症例や、治療方法がない疾患も多くあります。また治療に伴う強い副作用も問題視されています。

多くの症例を経験してきた東洋医学では、そういった疾患に対しても治療していくことが出来ます。この様に、西洋医学が苦手とする疾患に効果を発揮し、さらに副作用が無いというのは「鍼灸」の最大のメリットであると考えます。

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