Q1.「はり」は痛くないですか?

 
A. 痛くありません。

縫い針をちょっと指に刺しても痛いのだから、「はり」は痛いに違いないと思っている人が多いと思います。それは刺す技術の問題と、「はり」の太さの問題に因ります。

当院で、通常使用する針は、「豪鍼」という髪の毛くらいのごく細いものを使用しています。

疾患によっては、かなり太い鍼も使用しますが、技術さえしっかりしていれば痛いことはありません。当院では小児の患者さんも来院されるので、「痛い」ことはタブーです。

ただ、痛みには個人差があります。当院の「はり」は、患者さんに我慢を強いる様なものは無いと断言できますが、疾患によっては、かなり太い針を使用します。

この際、いわゆる「痛み」とは違う感覚が生じます。これは「はり」の響きというもので、強刺激に慣れていて、「気持ちが良い」という人もいますが、嫌に感じる人もいます。

太い針を使用する場合には、必ず治療前に納得のいくまで説明してから行ないますので、安心して治療を受けて下さい。

~何故痛くないのですか?~

鍼を痛いと感じる場合には二通りあります。 一つ目は、鍼が最初に皮膚を貫く時です。

皮膚の表面には痛点という痛みを感じる部分が無数にあり、どんなに細い鍼を使用しても、このセンサーを避ける事は出来ません。

しかし幸いなことに、この痛みのセンサーは、ある閾値以上の刺激でなければ反応しない仕組みになっています。つまり、閾値以下の刺激量ならば、痛みは感じないのです。

鍼という字は「金(ヘンに)感(じる)」と書きますが、これは「金属で強く刺激すること」を意味します。中国から鍼灸が伝えられた時には、かなり痛かったのではないかと思います。

中国人に比べると日本人は繊細な体質を持っていますので、 日本人に合った鍼として、豪鍼(髪の毛のように細い鍼の意味)の使用と、無痛で刺入できる技術が発達しました。

現在、ふつう鍼を刺入する際には、「針管」という「無痛刺入の為の道具」を使用しますので、ある程度の技術があれば無痛刺入は比較的簡単に出来ます。

しかし針管を使用しない撚針法(ねんしんほう)で痛みの無い鍼を刺すには、熟練の技が必要です。この手法で無痛刺入が出来れば、上手な鍼灸師と言えるでしょう。

二つ目は、太目の鍼を深く刺す場合です。鍼が最初に皮膚を貫いた瞬間を過ぎれば、痛みは感じないのが普通ですが、深く刺入される場合には、ズゥーンとした鈍い痛みを感じる事があります。これは「鍼のひびき」と言われる感覚ですが、個人差があり、どうしても我慢できない人から、気持ち良く感じる人までいます。

こういった深刺しの刺法は、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、耳鳴り、難聴、頚椎捻挫などの治療に使うと非常に有効です。

当院では、繊細な人に深刺しをする場合、細めの鍼を注意深く刺入する方法で出来るだけ不快感の無い様にしています。それでも我慢できない人にはマイルドな方法のみで治療しますが、治療回数は多くなります。

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