こむら返り

こむら返りは、医学的には腓腹筋痙攣と呼ばれているもので、こむら(腓腹筋=ふくらはぎ)に起こる筋痙攣の総称です。

特に腓腹筋に起こりやすいため、腓腹筋痙攣と同義とみなすこともありますが、大腿部、足底、指、首肩なども、この症状と同じ様な状態になります。

筋肉が異常緊張を起こして筋肉が収縮したまま弛緩しない状態になり、激痛を伴う症状です。立ち仕事の多い人やお年寄りに比較的多く見られます。

原因として、下腿静脈のうっ血、腓腹筋の過労、血中水分の欠如、電解質のアンバランス、寒冷などがあります。筋肉への酸素供給の不足と老廃物の排除が不十分となり、筋肉の痙攣が起きるものです。

主な誘因は冷えです。最も典型的な症例は、早朝の“こむら返り”です。就寝中は筋肉を動かさない為に、体温が低下しています。それが朝方の寒気と相まって、筋の収縮が起こります。

寝入りばなは暑いのに、朝方涼しくなる様な季節に多く起きます。特に汗ばんだ状態で冷えると、3倍くらい強く作用しますから、寝間着は長ズボンが安全です。

こむら返り自体は、実によく効く特効穴があり、簡単な「鍼灸治療」で当分起きなくなります。加えて、血行を良くして筋肉の疲労と冷えを取る治療をします。

「鍼灸」はこのように、病気ではないけれども辛い症状がある場合には、本当に適した治療法だと実感します。

下肢だけではなく、色々な部位に頻繁に起きる時は、何か病気が原因の場合もありますから検査が必要です。

~こむら返りの予防~

さて,鍼灸治療で当分起きない様に出来ますと書きましたが、二度と吊らないという意味ではありません。

いろいろと身体に辛い症状が出る場合、原因がひとつだけという事は殆どありません。人間の身体は、感染症や外傷などを除いて、単独の原因では発症しないのが一般的です。

こむら返りの場合も、筋肉の疲労、運動不足、ミネラルの不足、水分の不足、妊娠、糖尿病、透析、歯周病、肝臓病など下地になる複数の原因がある筈です。思い当たる事があったら、改善出来るところは改善しましょう。

こむら返り自体は冷えが入らなければ、まず起こりません。また、痛いには痛いですが重大な事態になる事もありません。しかし身体の異状を告げてくれている、大事な兆候です。少し疲れていないか、振り返るよい機会です。

~こむら返りを経穴(ツボ)で治す~

こむら返り(ふくらはぎの吊り)には、承山(しょうざん)が良いと思います。

もちろん専門的には、他にも沢山の経穴を使用しますが、今、足が吊って痛い時に、専門家でも取穴が難しい”つぼ”の位置を定めて、自分で治療するのは無理です。

鍼灸で最も重要なのは取穴・・・・治療する経穴(ツボ)の正確な位置取りです。経穴の位置を間違えていたら、まったく効きません。そこに、長い臨床経験が必要な理由があります。

承山はふくらはぎの中心部で、アキレス腱を擦り上げて行って、指が止まるところ、腓腹筋の起始部にあります。比較的、取穴し易い経穴です。

承山はふくらはぎの緊張をよく取りますが、実際に「こむら返り」が起きている最中に、この経穴を押して、即、治ったという話を私は聞いていません。吊りが解消された後、指圧するのは良いと思います。

また、土踏まずの吊りには臨泣(りんきゅう)が有名です。こちらはとても痛い経穴ですが、吊っている最中でも良く効きます。思い切って強く押して下さい。

臨泣

~こむら返りを自分で治す~~

単独の筋が吊った場合は、その筋を伸ばすような行為をすれば治ります。

例えば、ふくらはぎの場合は、足の親指を持って手前に引き付ける方法が一般的です。反動などは付けないで、じっくりとしっかり足先を引くと、ふくらはぎが伸びて、痛みが引いていきます。

また、痛くてなかなか力が入らない時には、思い切って立ち上がって、かかとをしっかり床につけると、自然にふくらはぎが伸びた状態になり治ります。ゆっくりと少しずつ、確かめる様にやってみて下さい。

吊った場所は何処であっても、吊っている部分が伸びる様にすれば良いのですが、ゆっくりと行って下さい。急にすると痛みが残る場合があります。最悪、肉離れすることもあります。

複合的に何か所も吊った場合には、残念ながら、じっとして収まるのを待った方が良いと思います。

予防としては、冷やさない事です。足湯や下半身浴で筋肉の疲労と冷えを取っておけば、まず起きません。

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