自律神経失調症
自律神経は、血管、リンパ腺、内臓など自分の意思とは無関係に働く組織に分布する神経系のことで、呼吸、代謝、消化、循環など生命活動の維持や調節を、自律的に行います。
「交感神経」と「副交感神経」からなり、ひと時も休まず、絶えず活動している神経です。
交感神経は、代謝や消化などの生命活動を活発にする働きをし、副交感神経は交感神経とは全く逆の働きをしています。ふたつの神経がバランスよく働いていれば、快適な生命活動が行われているわけです。
ストレスなどで自律神経のバランスが崩れると、多汗、無汗、動悸、不眠、頭痛、微熱、疲労感、頻尿、神不安などの多彩な辛い症状が出ます。
「鍼灸」では、現れている症状に対する対症的な治療と、自律神経系に対する根本的な治療を併せて行いますが、自律神経のバランスが整えば、多彩な症状は自然に消えていきます。
東洋医学では『気』のバランスが崩れると、病気になるといいます。原典である『素門霊枢』には、正に自律神経系の働きを『気』と称しているのではないかと思われる部分が多々あります。
文明が進めば進むほど、私達は自然とは離れた生活を送らねばなりません。そのストレスが自律神経のバランスを崩します。『素門霊枢』では、人類も自然界の生物の一員であり、宇宙の法則に沿った自然な生活の重要性を説いています。
東洋医学の考え方が必要な時代だと思います。
自律神経失調症は「鍼灸」の適応症ですが、日常生活の様々なストレスを上手に処理できないと、繰り返す事になります。
また、その人の気質も関係します。日常生活の中で自律神経系を鍛える方法を実践し、自分自身に暗示をかけて、うまくコントロールすると良いと思います。