頚性神経筋症候群
「頚性神経筋症候群」は松井孝嘉というお医者さんが提唱している病名です。
頭痛、めまい、耳鳴り、自律神経失調症、慢性疲労、うつ、ムチウチなどの不定愁訴は、首の凝りに原因があると定義し、これら症状の総称を「頚性神経筋症候群」と命名したわけです。
東洋医学サイドからこの疾患を診てみると、特に新しい病気ではありません。この様に多彩な症状を持つ患者さんは、すでに「鍼灸」の治療を受けている場合が多いと思います。
現代医学では目が痛ければ眼科、耳鳴りがすれば耳鼻科など、専門が分かれています。特にこの疾患の場合、様々な症状が出ますから、幾つもの科を受診しなければなりません。
それぞれに沢山の薬が投与されます。その薬の副作用でますます具合が悪くなって、「鍼灸」でもしてみようという人が、少なからず、いるのではないかと思います。
東洋医学では、病名は参考にはしますが、特に重要ではなく、様々な症状から、複合的にどこに問題があるのかを診察します。
頚性神経筋症候群の場合、頸椎に問題があるのは確かです。頸部の凝りは様々な症状を出します。初期の段階では、単純に首肩の凝りとして現れます。
押したり揉んだりしているうちに凝りはますます強くなって、後頸部にしこりの様な塊ができると、頭痛やめまいを生じます。
頸椎には重要な神経系統が集まっているので、その部位を強く圧迫されるために様々な症状が出現します。
その状態が長く続くうちに、生活に支障が出てきて、「うつ傾向」になります。
当院では「現代型頸椎症」として、パソコンやスマホなどの連続作業による目の酷使が、後頸部に異常な凝りを作る事に警鐘を鳴らしています。後頸部の凝りを溜め込まない注意をして下さい。
デスクワークの時の姿勢、時々目を休める事、軽いストレッチ体操など。マッサージは悪くはないですが、段々強くなりますから注意して下さい。
強いマッサージは筋組織を固くして、ますます固い凝りを作ります。温湿布が無難です。
首肩の凝りだけでなく、頭痛、耳鳴り、めまいなどの症状が出現したら、深刻な病気になる前に、「早めの鍼灸」を勧めます。
鍼灸では、頸部の凝りを緩める事を中心に、自律神経系の治療、気を補う治療などを併せて行います。