鍼灸と小児鍼

 

現在の鍼灸治療の位置づけは代替医療となっています。サイモン・シンによると、代替医療の殆どがプラセボ効果のみと云うことですが、実際に鍼治療に携わっている身にとって、その効果は実感できるものです。

鍼灸の道に入ってから、かれこれ40年。何でも治るなどとは勿論思いませんが、原因の分からない辛い症状が副作用なく取り除かれる事例は沢山あります。この医術が淘汰されることなく、長い年月続いている事実が病気に対する確かな効果を実証しています。

鍼灸にはいろいろな治療法がありますが、その中でも小児に対する鍼は、もっともっと活用されるべきものと思います。「小児鍼法」は日本では専用の小児針を使用して、接触刺激により治療します。針を刺すことはありません。

中国の小児鍼は大人の針の延長上にあります。治療の量とか、針の太さなどの違いは当然ありますが、基本的には同じ道具を使用しています。

日本人は中国人に比べ体質的に繊細で、中国鍼法では刺激が強すぎる為、日本独特の小児用の針が考案されたのです。また小児のお灸は、ほんのり温かい程度の治療で良く効きます。

この日本の小児鍼法は、ある程度の知識さえあれば、誰にでも施術できる部分があります。家庭の医療として活用できるということです。風邪予防の灸、浸出性中耳炎の灸など自宅で出来る治療が沢山あります。

専門的には夜泣き、かんのむしの治療が有名です。良く効きます。

しかし、一番の適応は風邪の治療です。鍼灸では薬を使わず、なるべく自分の力で風邪を治すようにします。そうすると免疫力が強くなって滅多に風邪を引かなくなります。また、いろいろな感染症に対してもスムーズに治る様になります。

小児鍼は現代医学を否定するものではありません。実際、現代医療でなくては対応できない疾患は沢山あります。ただ強力な効果がある反面、リスクもあるということです。

抗生剤の過剰投与は耐性菌を生み、身体を守る有用な菌まで死滅させ、免疫力を低下させます。

小児鍼を上手に活用すれば、薬漬けの子供は確実に減らせます。

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