小児はりの適応症

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滲出性中耳炎

滲出性中耳炎と小児鍼

小児への鍼治療の様子その1
滲出性中耳炎は鼓室(中耳にある鼓膜と奥の骨で囲まれた部屋のこと)に滲出液や分泌液が溜まる疾患で、炎症症状が無いものと定義されています。

浸出液が溜まる理由については、鼻の病気やアデノイド肥大などで、耳管が長時間閉じた状態になると、鼓室内が陰圧になって、まわりから滲出液がにじみ出てくるという説や、細菌感染によって産生されるある種の毒素の作用によって、軽い炎症が慢性的にあり、滲出液が溜まるという説などがあります。

しかし、浸出性中耳炎の根本的な原因は、耳管の機能が充分でないからという説が一番、納得できます。

耳管は鼓室と鼻咽腔をつなぐ管で、外界とつながっていて、大気は耳管を通って鼓室に入ります。即ち、耳管は鼓室の換気をして、外の空気圧と鼓室内の気圧を等しくするという、とても重要な働きがあります。

耳管は、通常はぴったりと閉じています。時々、あくびや飲み込む時などに、瞬間的に開いて、空気を取り込み、鼓室内の気圧を整えます。耳管の機能が充分でないと、風邪やアレルギーなど、少しの障害で鼓室の換気が出来なくなり、鼓室内の気圧が長時間、陰圧になる為、浸出液が溜まってしまうのです。


小児への鍼治療の様子その2
耳管の開閉能力は、生まれた時から十分に備わっている訳ではなく、乳幼児期には耳管機能は、まだまだ未熟だということです。耳管機能はその後、成長と共に発達し、10歳位でほぼ成人と同等の機能が備わるといわれています。

事実、昔から有った疾患だと思いますが、鼻水くらいで病院に行くことが少なかった時代には、知らない内に自然治癒している事が多かったと思います。松田道雄の育児書では、放って置いても10歳くらいまでには自然に治るから、いじくりまわさない方が却って良いと書いています。

滲出性中耳炎の小児鍼治療について言えば、まず、症状を早く取り去る事が出来ると思います。何度も繰り返していなければ、ほぼ一回の治療で、症状は改善されます。風邪のたびに繰り返している場合には、もう少しかかります。

しかし、この疾患が本当に治るのは、耳管がしっかり機能する様になった時です。それまでは、風邪をひく都度、罹患する事も少なくありません。その為、当院では自宅で「耳の特効穴」と「風邪予防の灸」を、してもらいます。灸の仕方はお教えします。誰でも出来ます。

自然治癒が一般的な滲出性中耳炎ですが、1~2%が難治性で癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎に移行すると言われています。専門医の治療は欠かせませんが、小児鍼は大きな助けになります。

滲出性中耳炎の専門医は、耳管機能低下そのものを改善させる治療法は現代医学にはなく、自然治癒を期待して、経過観察をするだけと言っています。そして、聴力が悪くなった場合には鼓膜チューブ留置術を薦めています。

また、抗生剤の使用についても、最長2週間以内に留めるべきで、副作用の問題と耐性菌の問題を警告しています。

子供は、病気を自分で治しながら丈夫になっていきます。細かい事にこだわらず、身体全体を丈夫にしていくことを考えて下さい。ある時期が来れば、ほとんどの小児疾患は治っていると思います。

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